凡人には芸術がわからないと言う人がいますが、確かに高額で取引される芸術作品はたくさんあります。例えば、ピカソの絵を見てその良さを本当に理解して、感動できる人がどれほどいるでしょうか。多くの人はピカソはすごいとすでに刷り込まれているので、その視点から見てしまいます。
しかし、芸術の世界で大事なのは希少性と他に真似がいないと言うことです。つまりオリジナル製です。きれいな写真はたくさんありますが、条件がそろえば誰でもある程度の写真は撮ることが出来ます。もちろん報道写真のようにそのタイミングでなければ撮影できなかったモノもあるでしょう。
その一方で抽象写真があります。抽象ですから、何かの概念を写真を通して表現することが関係してきます。日常何気なく使っているものが素材になる場合もありますし、用途を変えることで思いもよらない効果を生み出すこともあるのです。撮り方のコツも必要になりますが、光の加減や角度も大事になってきます。抽象写真にはメッセージ性があり、撮影した人の考えが写し込まれなければなりません。
そうなると凡人には理解できない作品になることもありますが、撮影した人の立場や考えを理解してみるなら、そのメッセージを理解できるかもしれません。形の無いものを表現すると言うのは非常に難しい作業になります。例えば、目に見えない空気をどのように撮影するでしょうか。そのまま撮ってもわかりません。では、強風で髪の毛が横になびいていたらどうですか。風という空気の形が見えてくることでしょう。
では、社会に対する不満や怒りを抽象写真で表現するとしたらどんな素材を使って、どのように表現するか考えます。マインドマップのようなモノを使うこともできます。関連のあるモノを線でつなぎながら書くのです。中心から離れるに従い、いろいろな形に変化するかもしれません。しかし、つながっていますので連想して当初伝えたかった概念にたどり着くことが可能になります。
現代社会は忙しく、ゆっくり物事を考える時間がありません。暇さえあればスマートフォンをいじっていることでしょう。抽象的な概念を考えるには物事を観察して、ジックリ考える時間が必要です。出来れば静かな環境で、電子機器に邪魔されないようにします。芸術家の中には夜中の静かな時間に作品を作る人もいます。もし次回抽象写真を見る機会があるなら、そこに込められたメッセージを読み取るようにしてみると思いもよらない発見があるでしょう。
抽象 写真は簡単?写真の抽象度を考えてみる
写真というと目の前にあるものを撮影してそのまま残すイメージが強いですが、表現の一つの方法としていろいろな写真が作られています。その中でも具体性ではなく表現に力を入れているものが抽象 写真になります。何かのモチーフや風景を撮るだけではなく、それを利用して伝えたいものを表現していくのです。抽象 写真を撮る時はどのようなことを表現したいのかをまず考えることが必要になるでしょう。撮影するもの自体は実際にあるものでも、光の加減や加工の仕方などで変化を付けていき、実際にあるものとはまた違うものを表現することができます。思い通りのものを作り上げるには、撮影の段階でどれぐらい全体像を検討しているかがポイントとなってくるのです。
写真の抽象度はどのような使い方をするのかによってもどのぐらいの抽象度にするかが異なってきます。芸術的な作品を作るのであれば、抽象度は高くなっていくでしょう。説明写真と抽象 写真は近い部分もあり、何かの説明のために、ある程度抽象的な写真を必要とすることもあります。その場合には、説明写真として活用することができるように、伝えたい部分はしっかり残しつつ抽象化していく必要があるのです。伝えたいことや使い方を考えて作り上げていくことは大切です。
具体的できれいな写真、身近な写真の魅力はもちろんありますが、抽象写真の方が伝えたいことをぶれずに伝えられたり、そこに込めた思いを反映させやすかったりすることもあるものです。そのまま写真を利用するだけではなく、写真の抽象度についても一度考えてみて、撮影方法や加工方法などを工夫しながら、自分の伝えたいことに合わせた形で効果的に写真を利用していきましょう。