“美しいポートレート写真のヒントは、カメラマンとモデルの両方の側における工夫にあります。特定の人物を撮影する場合は風景写真や集合写真、記念写真とは異なる撮り方をしなければなりません。カメラマンは人物を撮影するための基本的な考え方やカメラワーク、レンズなどについて学ぶことが大切です。綺麗に人物を撮影するための基本としては、まずカメラを専用設定にしておく必要があります。カメラが風景画や夜景の設定のままで人物に焦点を当てて綺麗に撮影するのは非常に困難とされます。実際に写真を撮る前に予めカメラを最適な設定にすれば、誰でも綺麗に撮影することができるようになります。
まずはカメラを絞り優先モードに設定して人物にピント合わせ、背景がぼけるレベルまで絞るとよいでしょう。背景をぼかせば主役が誰なのかをはっきりさせることができるので、明確に写真のテーマをアピールできます。目の前の被写体にピントを合わせて背景をぼかすには、カメラの絞りを表すF値をなるべく低く設定する必要があります。F4程度まで絞って撮影する場所の明るさに合わせてISO感度やシャッター速度を調整してください。
綺麗なポートレートを撮影したいのであればホワイトバランスの調整も十分行うことが大切です。RAW画像を使用する場合は特に問題はありませんが、蛍光灯の下で撮影すると色合いに大きな違いが現れます。ホワイトバランスをオートのままにしておくよりも調整した方が、自分が見ている被写体に近い色を表現できます。
デジタル一眼レフでポートレートを撮影する場合には、50mmのレンズを使用するとよいでしょう。一般的に50mmのレンズは、人間の肉眼で被写体を見たときに近い状態で撮影できるとされています。広角レンズを使用してモデルに近づいて撮影することも可能ですが、顔が歪んで映ることもあるので注意が必要です。50mmを基本として撮影位置を決め、撮影をしながら調整をするのが美しいポートレート写真を撮るためのコツです。
綺麗なポートレート写真を撮影するためには、カメラマンだけでなくモデルにも工夫が求められます。
モデルはカメラマンから要求されたポーズをするだけでなく、自分がどのように写っているかを意識することも大切です。光の当たる角度やカメラの設定、撮った写真を確認しながら撮影を進めていくと自分自身がどのように写っているかをある程度イメージできるようになります。”